週刊まちづくり/154号(2002/05/05号)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ □□□□◆週刊まちづくり◆□□□□ ---Weekly Machi-Zukuri--- 2002/05/05(毎週日曜日発行) 154号(配信数939) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【※等幅フォント半角70文字の設定でお願いします】 <週まち(週刊まちづくり)ホームページ>
───────────────────────────────────────── ◆0 週まち関連イベント情報◆ ───────────────────────────────────────── =<週まち共催イベント>=======================
=<週まち後援イベント>=======================
=<週まち協力イベント>=======================
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◆1 まちコラム◆
福祉ショップ設計の記録―市民が育む建築へ―<後編>=<三矢かつし>=
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福祉ショップの設計変更で生まれた施設全体に対する建築的価値は大きい。
それを三つの魅力に整理して総括しておこう。
■施設の入り口に「お迎えする気持ち」を配置しよう
第一に、この福祉ショップは基本設計段階のワークショップで位置付けられた
ように、施設の顔というべき、玄関ホールに面した場所にあるため、この福祉
ショップ空間が細部に渡って雰囲気のある場所に計画・デザインされ、そこで
働く人々の心を高めたことで、施設全体のイメージを向上させることになっ
た。
■縁日通りに「住宅らしさ」を埋め込もう
第二に、「縁日通り」の質を向上させたこと。この施設(仮称・四街道市南
部福祉センター等複合施設)の目玉空間「縁日通り」は、廊下としての移動機
能があるばかりでなく、さながら通りにお店が建ち並ぶかの如く様々な居室が
顔を出している(その一つが福祉ショップ)が、福祉ショップを一つの核とし
て"大きな住宅のような構成"が生まれたのは重要である。「縁日通り」は、床
仕上げを土っぽくし、まるで大きな土間のような場所を作り出す、日本的な
"通り"の文化(西洋の"広場"の文化と対比的な)を狙ったもの。「施設の中に
も"原っぱ"がある」という基本設計ワークショップでの方向性を形にしてきた
わけだが、ここに住宅らしい構成があるのは非常に望ましい。
福祉ショップは、手作りのパンやおいしいコーヒー、あるいはケーキが出さ
れる喫茶コーナーとして機能することになるが、その調理カウンターはオープ
ンキッチンのような構成で、手前のお客さんが腰掛けるテーブルやイスを眺め
ることができる。そこは、住宅でいう"リビング"のようだ。その向こうに連な
る形で畳がしかれた「教養娯楽室(囲碁や将棋ができる娯楽室)」が広がって
おり、その様子もよく見える。それは住宅の"和室"のようだ。しかも、教養娯
楽室には縁側があり外でお茶をいただくことも出来る。逆に、福祉ショップが
"オープンカフェ"として充実する事を教養娯楽室が助けてくれる。
視線をずらせば、施設の総合カウンターにも目が届き、そのずっと先では子
どもたちの賑わい(児童センターの工作室や遊戯室)を感じることが出来る。
更に縁側通りの突き当たりはガラスで外部空間を透過しているが、これによっ
て遠く南に広がる千葉市緑区の林の稜線すらも借景(周りの風景を自分の庭の
風景として楽しむこと)が可能だ。
■施設メンテナンスと施設利用者をつなぐ
第三に、施設の植栽的演出を市民が担うきっかけを明確化したこと。これは
僕の思い入れでもあるが、施設というか建築にアプローチする時には、彩りや
形が豊かな、あるいは香りも良いような植栽を愛でながら行きたい。そんな思
いも込めて、福祉ショップを取り囲むような配置で、植栽計画がされている部
分がある。この思いを市民グループに伝えると共に、「この植栽部分を、福祉
ショップの店周りを彩る意味で草花のお世話をして欲しい」と言った。これに
対して市民からは「あ、ちょうど草花を育てる達人がいるから彼女に早速声を
かけてみます。きっと張り切ってやってくれるはず。」と返事がきた。
デザインを提示した側の意図を引き取ってくれる市民の言葉。これはうれし
い。
■公共空間を個性化しよう
ここまで来て僕が思ったことは、「建築の基準設計を疑え!!」という当た
り前の答え。
「福祉ショップって、だいたいこんな感じでしょ」と、建築資料集成(基準
的な建築プランが集まった資料冊子)を念頭に建築の専門家は設計図を引くか
もしれない。しかし、今回の四街道市での市民参加による建築デザインプロセ
スが教えてくれたのは、「地域に即した建築のあり方」は、それとは大幅にず
れてしまうことがありうるということだ。
たまたま四街道市の福祉ショップに関わるような市民が熱心で、コーヒー程度
でなく、おいしいパンをつくる努力をしようとし、おいしいケーキが出せるよ
うに努力している人々。しかも経営的にどうするかを真剣に考えている人た
ち。その真剣な気持ちに真摯に答え、その活動にそぐうような器(建築)を準
備することは、建築屋として当たり前のことのはず。これが建築でありたい。
もちろん、福祉ショップ設計のスタンダード(基準)としては「正しくない」
かもしれない。しかし、四街道市の"あの市民グループ"には、「適切な」形を
提供できそうなこの状況は、とても良い事だ。「公共施設は無難な物を」とい
う「全てが平等」な建築観を超えて、「多様で個性的な場所や建物をつくるこ
とが最大の公共への貢献」という「まちづくり全体としては平等であろうとす
る」建築観を、僕らは切り開いたと言いたい。
市民の活力を支え、刺激し、勇気を与えるような建築。
それは、平成15年11月に開館する複合施設"わろうべの里"。
四街道市和良比地区に生まれるその施設・場所では、笑い声が聞こえるかな。
和良比の森に抱かれたその施設で、コーヒーを飲みながら語り合う日を夢見
て、「頑張ろう」と思った。 (千葉まちづくりサポートセンター)
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◆2 まちづくり本◆
(今週はお休みです)
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◆3 まちづくり伝言板◆
NHKインターネットディベート番組協力願い
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はじめまして、NHKインターネットディベート(BSI)です。
突然メールをお送りして失礼します。
6月のテーマは「ネオ町内会」という番組を企画しております。
これからの「地域コミュニティのあり方」について取り上げます。
番組では、メールとともに議論します。
HPには、番組のねらいや意見募集を掲載しております。
是非、HPも見ていただき、興味を持っていただけたらご意見をいただいたり
会員への皆さまへの周知もお願いできないでしょうか?
ご協力をお願いいたします。
番組へのお問い合わせは、下記担当渡辺までお送り下さい。
番組HPアドレス:http://www.nhk.or.jp/debate/
・放送日:第一回「これでいいの?町内会・自治会」(6月15日)
第二回「コミュニティはあなたを待っている!」(6月22日)
【連絡先】NHKインターネットディベート 番組制作部 担当 渡辺
連絡先 03−5455−4904
XMB01121@nifty.ne.jp
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◆4 週まちリンク集充実中◆
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週まちリンク集には大きく下記のような2種類があります。ご紹介いただく際
は【個人・組織・団体などの名前/URL/紹介者のお名前/(できれば一言
メッセージ)】を記載の上、編集部までお寄せください。
(1)週まちのネットワーク編────────────────────────────
・みなさまの活動や所属しているグループや組織、あるいは個人のページに
ついてのご紹介をよろしくお願いいたします。
・基本的には自薦とさせていただきます。
※紹介者のお名前を掲載させていただくことによって、週まちを通じて各
活動に関心を持たれた方を少しでも近い関係でつながればことをめざし
ています。
(2)おすすめサイト紹介編────────────────────────────
・自分が直接関わっているわけではないが、知人が関係している場合、ある
いは使える、面白いサイトなどをご紹介ください。
なお、リンク集は週まちHPのトップページからリンクされています。
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◆5 まちづくりカレンダー◆
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◎:新しく紹介するイベント
■:以前紹介したイベント([●●号]は掲載号)
□:追加情報のあるイベント
☆:ホームページ版での新情報
<ちょい>:20代によるまちづくりを考える<ちょいまち>メンバーが関
わっているイベント
バックナンバーは、以下に掲載中
|第146号|第147号|第148号|第149号|第150号|第151号|第152号|第153号|
◇◇イベント情報◇◇
─<関東>──────────────────────────────
2002/5/8(水)
■東京大学交通基盤防災工学(JR東日本)寄付講座主催
2002年度交通基盤防災工学寄付講座一般講演会
『交通基盤の開発戦略と防災技術』[152号]
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5/10(金)
■日本建築学会建築計画委員会第50回空間研究小委員会研究会
「建築・都市計画のための空間計画学」出版記念
新たな「空間研究」の展開[150号]
■早稲田都市計画フォーラム
パオロ・チェッカラーリ (フェラーラ大学教授)
「都市計画 −世界的な視野で−」[152号]
───────────────────────────────────
5/11(土)
■NPOかながわ総研設立記念
講演会「都市再生法等と京浜臨海部再編」[151号]
───────────────────────────────────
5/14(火)
■イエズス会社会司牧センター2002年度セミナー
アンソレーナさんと“開発”を語ろう―貧困脱却めざす住民の創造的活動
と政府の新対策― 第2回 フィリピン[第146号]
───────────────────────────────────
5/16(木)
■UNDP/JICA 合同シンポジウム
「持続可能な開発に関する世界首脳会議に向けて−その課題と展望−」[153号]
───────────────────────────────────
5/17(金)
■神奈川子ども未来ファンド報告会[153号]
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5/19(日)
■『かながわボランタリー活動推進基金21』を考える市民フォーラム[153号]
■NPO法人てこネット第二回総会及び記念講演会
川瀬健介(NPO生活・福祉環境づくり21事務局長)『福祉住環境コー
ディネーターの現状と将来』[153号]
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5/25(土)
■参加のデザイン道具箱実践講習会
平成14年度フィールド編『初夏の巻』[152号]
■チャリティフェスタ まつり・祭り・MATSURI[152号]
■早稲田都市計画フォーラム連続セミナー第47回
「持続可能な都市の実現と都市インフラの再構築」−人口減少時代の社会
資本整備−[153号]
■小金井・まちづくり会5月臨時定例会(『まちづくり条例』を考える)
〜先進都市三鷹市の試みに学ぶ〜[153号]
◎バスから地域交通を考える会 サロン(勉強会)
ノンステップバスへの転換の実現に向けて
〜 地域交通を誰にでも使いやすくしていくために 〜
【時間】14:00-17:00
【場所】東京ボランティア・市民活動センター会議室または、オープ
ンスペース
(飯田橋駅下車)
(会場案内)http://www.tvac.or.jp/tvac/welcome/whwh.html
【主催】バスから地域交通を考える会
http://isweb39.infoseek.co.jp/area/basukara/
【費用】会員/会員外に関わらず無料
【申込】必要ありません。ご連絡いただければ幸いです。
【問合せ】バスから地域交通を考える会
TEL&FAX(0422)22-8530
E-mail basukara@mx14.freecom.ne.jp
【内容】−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
すでに多くのバス事業者が、現在では購入する車両を全てノンステッ
プバスとしています。また、都営バスも2001年度に導入する車両
をすべてノンステップバスとしました。しかし、その一方でノンス
テップではないために利用できない人が出てしまう車両を今年度も導
入しつづけている事業者も、いまだ少なくありません。公共交通を維
持する仕組みの問題にも目を向け、具体的な取り組みを考えたいと思
います。
★プログラム
1、なぜノンステップバスの導入が必要か。
なぜノンステップバス以外ではだめなのかのおさらい。
現状の共有。
2、事業者が挙げているノンステップバスを導入できない理由は?
3、どうなったら導入できるか。
導入できるようにするために何をしていけるか
【提供】星野近人さん(バスから地域交通を考える会)よりお寄せい
ただきました。
◎アート・イヴェント「4」Vol.5〜市川真間大門会商店街〜
【開演時間】13:00-、16:00-、19:00-
【場所】市川真間大門会商店街
(JR市川駅より徒歩15分、京成線市川真間駅より徒歩10分)
【費用】大人2000円、学生1800円 全席自由
入場料と引き換えに劇場通貨「働」(1働=100円)を15枚
発行します。
【問合】一ノ瀬 寿人k.ichinose@oak.zero.ad.jp
【内容】−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
場内では、「働」という通貨を使います。1働100円相当で、入場料
2,000円で入場していただき最初に「15働」を手にします。(500円は
入場料となります。)会場内には、テーブルと椅子が設置され、
「働」が使えるカフェが営業いており、ダンサーや音楽家、美術家な
どが自分の作品の販売・営業をしています。入場時にわたされた15働
で、カフェのコーヒーやダンス、音楽、美術を購入して思い思いに楽
しむことができます。
いままでの舞台芸術は、鑑賞者はただ客席に座り、与えられたものを
消費させられる受け身なものでした。「4」の場合、カフェスタイル
の会場で出演者や鑑賞者が一緒になってテーブルを囲むことにより、
生まれる会話と、お互いが今まで関わることのなかった人とのつなが
りによっておこる新たな流れと活気が溢れ出します。また、街をテー
マに出演者がパフォーママンスなどを行います。アーティストから見
た市川の街を、感じてもらえたら、と思います。
観客がその場で「芸を売る」ことが出来ます。観客であっても、その
場でオーディションを受けて通れば、「4」で芸や商品を売ることが
出来ます。それゆえ、演劇は見るものという概念を取り払い、鑑賞者
をも内側に引き込み、芸を売ることの楽しさと、「円」とは違う、そ
れによって得た「働」の価値を知ることがことが出来ます。
過去に「4」に参加していただいたアーティストは、様々なジャンル
から構成されています。常時新しいアーティストとの出会いを求めて
活動を続けております。様々な分野で活躍する新進気鋭の若手作家を
集め、プロの作品をある種生活の一部である商店で触れ合うことによ
り、劇場や美術館などで演劇や作品を観ることとは違い、現代美術を
より近いものと感じてもらうことが出来ます。
●「4」 メンバ−
小手川望:制作 / 岸井大輔:演出
一ノ瀬寿人:HP・フライヤ作成など(千葉商科大学政策情報学部3
年生)※公演の窓口。その他,音楽家,ダンサー,都市計画家,美
術家,文筆家,料理人,歴史研究家などが参加します。
☆ WEB http://www.interq.or.jp/angel/nozomi/4.htm
[企画協力] 千葉商科大学 楜沢ゼミ・山口ゼミ 学生
【提供】河野典子さんよりお寄せいただきました。
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5/27(月)
◎ラボ・アーキテクチュア・スタジオ(Lab Architecture Studio)講演会
フェデレイション・スクエア(メルボルン)を巡って
【時間】講 演:18:30-20:30(18時開場)
懇親会:20:30-21:30
【場所】TN プローブ
東京都港区北青山3-6-1 ハナエモリビル5F
【主催】TN プローブ
【費用】500円(当日受付にて支払い/講演終了後)
【申込】文末の申込みフォーマットに必要事項を記入の上、お申し込
み下さい。
Eメールの他、FAX、ハガキでも受付致しますが、講演名、氏
名、所属、緊急連絡先電話番号を必ずお書き添え下さい。
定員を超えた場合のみ、5月21日[火]までに、抽選の結果
をメールまたは電話にてお知らせいたします。
※定員:250名(事前申込み制)
【問合】TN プローブ(担当:勝山)
FAX:03-3298-2197/E-mail:event@tnprobe.com
【内容】−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1997年の国際設計競技よりはじまったオーストラリア、ビクトリア州
の州都メルボルンのフェデレイション・スクエア(Federation
Squqre/敷地面積3.8ha)は、本年中旬に完成を向かえる。
完成後はメルボルンの正面玄関口となるこの地域は、様々な地域への
結節点となる新しい公共空間となると同時に、河川部と市中心部とを
繋げ、街を活性化させる役割を担っているといえる。
この設計競技で勝者となり一躍脚光を浴びることになったドナルド・
ベイツとピーター・デイヴィッドソンによるラボ・アーキテクチュア
・スタジオは建築家ダニエル・リベスキンドから強い影響を受けてい
る。国際的な議論の的になっている彼らの建築の複雑性はどのような
意味を持つのだろうか。本講演会では、オーストラリアの都市開発及
び建築の現況を紹介すると共にラボ・アーキテクチュア・スタジオの
都市への視点、建築への思考を探る。<通訳:日英逐次通訳>
※プロフィール
ラボ・アーキテクチュア・スタジオは、建築家ドナルド・ベイツと
ピーター・デイヴィッドソンによって1994年ロンドンで設立された。
Wagga Wagga シビック・センター、Future Generations大学、オース
トラリア国立ギャラリー、パラマタ・ロード・アーバンデザイン等の
様々な設計競技の最終選考に参加。
1997年、フェデレイション・スクエアプロジェクト国際設計競技に優
勝。
彼らの作品や著作は、「AD」「Assemblage」「Zoo」「10×10」
「Architectural Review Australia」「Monument」などの建築関連書
で、オーストラリア内外で広く紹介されている。
1997年に「AD:Architecture after Geometry」のゲストエディター
として彼らの作品や理論を出版。展覧会およびフォーラム等への参加
多数。
週刊まちづくり第154号(2002年5月5日発行)
発行:週刊まちづくり編集部(吉村・杉崎)
E-mail:machi@sa.uno.ne.jp
FAX:052-917-1210(吉村)
URL:http://member.nifty.ne.jp/Teru2/w-machi/
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